仕事をやっているとシステム提案の場で、よく言われる言葉があります。
「もっと顧客視点で考えてください」
ただ、この言葉はとても抽象的で、
「何をどう直せばいいのかわからない」と感じたことがある人も多いはずです。
SIerとして評価される提案は、
技術的に正しい提案でも、
最新のシステム構成でもありません。
本当に見られているのは、
「この人は、顧客の立場で物事を考えているか」
その一点です。
顧客視点とは「顧客の仕事で考える」こと
顧客視点というと、
「要望をそのまま叶えること」
「言われた通りに作ること」
と誤解されがちです。
しかし実際は違います。
顧客視点とは、
顧客が日々どんな仕事をしていて、
どんな責任を負い、
どんな評価を受けているのか
を理解したうえで提案することです。
たとえば、
- そのシステムは、顧客の仕事を本当に楽にするのか
- 導入後、誰が運用して、誰が責任を持つのか
- トラブルが起きたとき、顧客はどう説明するのか
こうした点まで想像できているかが、
「顧客視点での提案」かどうかを分けます。
機能ではなく「導入後の姿」を語れているか
SIerの提案で多いのが、
機能や構成の説明が中心になってしまうケースです。
しかし顧客が知りたいのは、
- 導入したら、業務はどう変わるのか
- 何が減って、何が楽になるのか
- 逆に、増える負担はないのか
という導入後の現実的な姿です。
「効率化できます」ではなく、
「毎月3日かかっていた作業が半日になります」
といった形で語れると、
顧客は自分ごととして想像できます。
ここから重要:顧客は一人ではない
ここで、顧客視点をもう一段深く考える必要があります。
顧客企業の中には、立場の違う人がいる
という点です。
同じ会社でも、
- 情シス
- 現場
- 経営者
では、システムに対する見方がまったく違います。
「顧客視点で」と言われたとき、
実はこの立場の違いを意識できているかが大きな分かれ目になります。
情シスの視点:止めない・守る・説明する
情シスが一番恐れているのは、
「システムが止まること」と「説明できないこと」です。
便利そうなシステムでも、
- 運用が複雑にならないか
- 障害時の切り分けはできるか
- ベンダーがいないと回らない設計ではないか
こうした点を常に気にしています。
情シス向けの顧客視点とは、
「新しいことができる」よりも
「今より怖くならない」提案になっているかどうかです。
(例:運用負荷が増えない、責任範囲が明確、段階導入が可能 など)
現場の視点:とにかく仕事を増やしたくない
現場の関心はとてもシンプルです。
- 操作が難しくないか
- 今のやり方が大きく変わらないか
- 二度手間が増えないか
どんなに良いシステムでも、
毎日使う人がしんどくなる提案は失敗します。
現場視点での顧客視点とは、
「理想の業務フロー」ではなく、
「今日の仕事がどう変わるか」を想像できていることです。
(例:入力が減る、慣れた画面に近い、最初は一部業務から始める など)
経営者の視点:投資として正しいか
経営者が見ているのは、
システムそのものではなく意思決定の結果です。
- コストに見合うのか
- 数年後も使えるのか
- 失敗したときのリスクは何か
経営者にとって重要なのは、
「最新かどうか」より
「安心して判断できるか」です。
経営者視点の顧客視点とは、
システムの話を
経営判断の言葉に翻訳できているかどうかです。
(例:投資回収の考え方、将来拡張の余地、リスクの説明 など)
顧客視点とは「迎合」ではない
顧客視点というと、
「顧客の要望をすべて受け入れること」
だと思われがちですが、これは違います。
本当の顧客視点とは、
- 将来困る選択をしそうなときに止める
- 短期的に楽でも、長期的に危険な点を伝える
- あえて別の選択肢を示す
ことです。
顧客の立場に立っているからこそ、
「その選択は危ないかもしれません」と言える。
これができるSIerは、
単なる受託先ではなく、信頼されるパートナーになります。
まとめ
SIerに求められる顧客視点とは、
- 顧客の業務と責任を理解し
- 導入後の現実を具体的に描き
- 情シス・現場・経営者それぞれの立場を想像すること
です。
「顧客視点で」と言われたら、
“誰の視点が抜けているか”を考えてみる。
それだけで、提案の質は確実に変わると思います。
この記事がみなさんの役に立てば幸いです。
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