現在、我が家では、太陽光発電が稼働しており、2012年に導入したこの設備も、もうすぐ10年目を迎えます。
国による再生エネルギー買取制度も11kW未満の家庭の場合は、10年間で終了し、その後は大幅に売電単価(売電価格)が下がります。
これまで高く売れてた電気も安くなるし、再エネ賦課金も徐々に上がっているし、電気料金をどのように見直していくかを少しずつ考えていました。
そのような中、我が家に蓄電池の紹介で訪問される会社も増え、蓄電池について学び、我が家で導入した場合の採算性をシミュレーションしてみました。
結論としては、我が家においては時期尚早と感じ、現時点での導入費用(150~200万円前後)では、あまり魅力がない(採算が取れない)と判断しました。
希望は、工事を含め導入に100万円程度で、かつ10年程度の稼働保証があれば、即時導入と判断できたのですが残念です。
今回の検討にあたり、我が家の電気代をシミュレーションした結果を記事にまとめてみましたので、興味があれば読んでください。
・蓄電池の導入を検討している
・蓄電池って何を注意すればいいの
・採算が取れるか考えたい
蓄電池の検討で注意すること
1.方 式
方式としては、ハイブリッド型蓄電池なのか、単機能型蓄電池なのかで工事が変わってきます。
特に既設で太陽光パネルを設置している場合は、既に太陽光用のパワーコンディショナー(パワコン)が設置されています。
そのため、ハイブリッド型蓄電池の場合は、既設のパワコンを含めて交換し、追加される蓄電池とハイブリット型パワコンを新設します。
既設のパワコンが老朽化していれば、交換費用を削減できるという考え方もできます。
太陽光パネルで発電された電気を蓄電池へためる場合の変換ロスもパワコン1台なので少なく済みます。
一方、単機能型蓄電池では、既設に加えて新たに蓄電池と専用のパワコンを設置する形になり、工事は比較的容易になります。
その分、設置スペースが必要だったり将来のパワコンの交換費用が2台分となる。
太陽光パネルから蓄電池までにパワコンが2台あり、変換ロスが大きくなります。
2.リチウムイオン電池の種類
蓄電池に欠かせないリチウムイオン電池にも種類があります。
主によく使われている「三元系」「リン酸鉄系」の2つに絞って説明すると大きく次のような特徴となります。
◇三元系
ゲーム機、パソコン、ケータイなどで利用されるリチウムイオン電池。
蓄電サイクルとしては、6000~8000回程度。
◇リン酸鉄系
電車、飛行機などに使われているリチウムイオン電池。
蓄電サイクルとして、12000回程度。
つまり、蓄電サイクルが大きいほど何度も蓄電できる(長く使える)ということになります。
そのため、リチウムイオン電池の種類によって値段が変わり、使える期間も変わってきます。
3.出力の違い
日中の電気を出力する量がどれほどあるかはポイントの一つです。
例えば、エアコンを各部屋でつけて、IHで調理をしたりして仮に4kWhを消費していた場合、出力が2KWhや3kWhしかない場合は、不足する分を購入する必要があります。
蓄電池に電気が溜まっていても出力量が足りないから買わざるを得ないということになります。
この点は、注意して商品を選定する必要があります。
その他:非災時に備えた蓄電池の種類
停電時など蓄電池から電気を供給する場合、注意することが特定負荷と全負荷というものです。
特定負荷の場合は、100Vのみで1~2回路で、全負荷の場合は全回路、200V対応というものです。
つまり、キッチンのIHやエコキュートなど200Vで動くものまで対象とするかどうか、100Vの一部の回路のみで良しとするかで判断する必要があります。
検討した商品
(1)EIBS7
田淵電機のEIBS7です。
蓄電池業界ではメジャーな会社で、任天堂のswitchの電源とかも作っている会社です。
詳しくはメーカサイトをご覧ください→ ハイブリッド蓄電システムEIBS7
(2)Powerwall
テスラジャパンの蓄電池です。
2020年より日本に上陸し、注目が集まっています。
工事業者も限られており、福岡でできる会社も限られています。
詳しくはメーカサイトをご覧ください→ Powerwall
自宅に設置するなら個人的にはオシャレな感じのテスラのPowerwallを設置したいなぁっと思っていましたが。。。工事費含めると結構します。
いずれも工事費含め見積上は、180万円~220万円で、最大で値引けても150万円?くらいかと勝手な推測をしていました。
我が家の電気料金事情
我が家では九州電力の季時別電灯料金プランを選択しています。
季時別電灯料金プランでは、利用する季節や時間帯で以下のように料金が異なります。
<引用:九州電力 電力料金メニュー>
我が家で実際に支払った分、売電した分の2年間の料金を掲載すると下表のとおりです。
<電気料金一覧:2019年5月~2021年4月>
<電気料金構成比:2019年5月~2021年4月>
現在も太陽光発電の恩恵を受け、日中(デイ)の電気料金が少ないことがわかります。
一方で太陽光による実際の販売電力量を整理すると下表のとおりです。
<太陽光の販売電力実績>
導入シミュレーション
現状のまま太陽光発電だけとする場合(ケース1)と、新たに蓄電池(ハイブリッド型蓄電池)を導入した場合(ケース2)で比較しました。
(1)ケース1:現状のまま
<想定条件>
a.2020年度の年間買電量をもとに5000kwh/年とする。
(既設の太陽光パネルやパワコンは使い続ける想定)
b.子どもの成長にあわせて10年先をピークに100kWh/年ずつ増える
c.再エネ賦課金は、毎年0.4円ずつ上昇すると仮定
d.売電量は、卒FIT後を想定し除外(計算に含めない)とする
e.買電単価は、現在の九電からの料金明細をもとに発電量と電気料金の実績値から算出
[電気料金から電力使用量を割って、kWhの平均値を試算(21.2円)]
f.既設の太陽光用のパワコンが故障し、修理・交換で30万円が発生する想定
グラフにするとこのような感じ。
(2)ケース2:蓄電池購入
<想定条件>
・a.~d.まではケース1と同じ
・g.買電量は蓄電量の差分とし、蓄電量は売電量の全量とする。
つまり、売電量は2020年度の合計値(3600kWh)とし、その全量が蓄電されたと仮定。
そのため、買電量は蓄電量で足りなかった分と考え、買電量1400kWh/年。
・h.買電単価は、夜間単価を充当するものとし、夜間単価(12円/kWh)とする。
・i.蓄電池の購入は工事金額も含めて、150万円として試算
(3)支出累計の比較
ケース1とケース2の支出累計を比較した場合にどのように推移するかをまとめました。
蓄電池を仮に150万円で購入できたと想定すると以下のような推移になります。
[150万円で蓄電池が導入できた場合]
仮に値段が下がったり、新たな蓄電池が登場し100万円で工事を含め導入することができた場合。
<100万円で購入できた場合>
7年目には採算が取れるようになり10年投資で考えるとプラスに転じます。
現状の見積額に近いですが、200万円で蓄電池を導入した場合。
<200万円かかった場合>
全く採算が取れないことが明確です。
まとめ
もともと太陽光発電により日中の電気代は節約されていることから、我が家では蓄電池による夜間電力の効率化もあまり恩恵を受けないことがわかりました。
シミュレーションの前提条件の考え方は、人によって異なる場合はあるものの、将来を見据えて蓄電池を設置するには現時点での購入金額(150~200万円規模)では、投資して回収するまでの期間が10年と長期にわたることもあり、あまりメリットを感じないと思いました。
逆に、100万円くらいで蓄電池が設置できるのであれば即時に導入して良いと思います。
各家庭での現在の電気代や内訳により、シミュレーション結果も変わってくるかもしれないので、必要に応じて検討してみてください。
なお、記事に掲載したグラフや表が必要な場合は、コメント等でお知らせ頂ければお送りします。
この記事がみなさんの役に立てば幸いです。
【 参 考 】
できることから一つずつ!SDGsを理解して身近なことから改善しよう。
太陽光発電の買取もそろそろ大詰め、10年目以降を見据えた再エネ活用計画!
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