前回の記事では、財務分析として貸借対照表から、資金調達と運用のバランスを把握しながら、企業経営がどの程度安定しているかを把握する安全性分析について、まとめました。
今回は、第二弾として、会社が投下した資本に対して、どれだけ効率的に利益を生み出している(儲けている)かを把握する収益性分析について記事にしてみました。
内容自体は、ポイントのみを記載しているため、不足する点があるとは思いますが、少しでも頭の整理に役に立つようだったり、興味がある内容であれば是非ご覧ください。
全体概要
財務諸表として、貸借対照表と損益計算書は以下のようなものです。
(説明上、キャッシュフロー計算書は省略)
<貸借対照表>
<損益計算書>
収益性分析を行う上でのキーワードは次のような構成となります。
収益性分析
具体的には以下のような指標で判断していきます。
総資本経常利益率
企業の経常的な収益力を示す利益は、経常利益です。
総資本経常利益率は、この経常利益を獲得するために総資本(自己資本である純資産と他人資本である負債)を使っているかを見て、経営の効率性を見ることができます。
具体的な計算式は次のとおりです。
ただ、総資本経常利益率だけでは、何が原因で良いのか、悪いのかが判断(分析)できません。
そのため、以下のように総資本経常利益率を分解して、その原因を探っていく必要があります。
自己資本利益率(ROE)
自己資本利益率は、企業の純利益を自己資本で割ったものです。
自己資本とは、企業が自らの資金で運営している部分を指します。
この指標が高いほど、企業は少ないリスクで収益を上げていることが示されます。
一般的にROE(Return On Equity)と呼ばれます。
売上経常利益率
売上経常利益率は、企業の経常利益を売上高で割ったものです。
企業が商品やサービスを提供する際に、いかにコストを抑えて利益を上げているかを示す重要な指標です。
次の計算式で求めます。
売上高経常利益率も更に分解していくことで、より詳細な分析をすることができます。
売上高総利益率
売上高総利益率は、企業の総利益を売上高で割ったものです。
商品やサービスの生産・提供にかかるコストに対して、どれだけ利益を上げているかを示す指標です。
高い割合であれば、コスト管理がしっかりと行われている証拠です。
売上高総利益率を改善するには、原価低減や売価引き上げが必要になります。
ただし、売価とあわせて原価も上がると意味がないため、原価をそのままに、新たな製品開発等の付加価値で売価をあげる工夫が重要となります。
売上高販管費率
売上高販管費率は、販売費や一般管理費を売上高で割ったものです。
これによって、企業が営業活動にどれだけのコストをかけているかが分かります。
低い率であれば、効率的な営業活動が行われていると言えます。
金融費用負担率
金融費用負担率は、以下の計算式で算出します。
金融費用:支払利息・手形売却損、車載利息、売上割引など
金融収益:受取利息・配当金、有価証券利息、仕入割引など
この指標は、財務活動の良否を表す指標であり、マイナスが望ましく、プラスであったとしても低いほうが望ましいです。
総資本回転率
総資本回転率は、売上高を総資本で割ったものです。
企業が投下した資本をどれだけ効率的に活用しているかを示す指標です。
高い割合であれば、資本の効率的な運用が行われていると言えます。
総資本回転率も更に分解していくことで、より詳細な分析をすることができます。
売上債権回転期間
売上債権回転期間は、平均売上債権を売上高で割ったもので、売上債権の回収スピードを示します。短い期間であれば、顧客からの回収が早く、企業のキャッシュフローが改善されていると言えます。
参考:仕入債務回転期間
仕入債務回転期間は、平均仕入債務を売上高で割ったものです。
仕入債務の支払いスピードを示す指標であり、長い期間であれば資金調達の効率が悪い可能性があります。
棚卸資産回転期間
棚卸資産回転期間は、平均棚卸資産を売上高で割ったものです。
在庫をどれだけ効率的に売り上げているかを示す指標です。
短い期間であれば、在庫の滞留が少なく効率的な運用が行われていることを示します。
固定資産回転率
固定資産回転率は、固定資産(有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産)が、いかに活用されて、売上高に結びついているのかを表す指標です。
企業の固定資産がどれだけ収益を生み出しているかを示す指標です。
高い割合であれば、効率的な固定資産が活用されていると言えます。
まとめ
前回、今回と財務分析に関する記事をご紹介しましたが、財務諸表から大まかでも会社の状態が把握できるようになると、ニュースで取り上げられる話題やプレスリリースで発表される記事が、財務諸表で分析した結果とつながるシーンが出てきます。
それだけ、会社が経営する上で財務分析は重要ですし、それをもとに動いていることがわかってくると、投資先や就職・転職先として考える際の一つの検討資料として使うと良いかもしれません。
ぜひこれらのポイントを活用してみてください!
この記事がみなさんの役に立てば幸いです。
【 参 考 】
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